2012-01-01から1年間の記事一覧

清掃中

神奈川のとある駅でのことだという。 Kさんという男性が乗り換えの合間にトイレに向かった。 しかし出入り口には生憎、清掃中の立て看板が置いてある。 乗り換えの時刻も迫っていたし、先程から少し我慢していたところだったのでKさんはそのままトイレに入っ…

天狗倒し

ある人が釣り友達二人と茨城の港で夜釣りをした時の話。 夕方からずっと風も弱いままで、波も穏やかな夜だったという。 護岸に立ってしばらく釣っていたものの、かかるのは雑魚ばかりで目当ての魚が来ない。 場所を変えてみるかな、と思っていた丁度その時で…

Hさんという人が仕事で四国に行った。 泊まった宿は随分古い旅館で、案内された部屋は長い回廊の奥だった。 疲れていたHさんは夜も早いうちに布団に入ってしまったのだが、普段より早い時間に眠ったせいで、まだ暗いうちにふと目が覚めた。 まだ朝までは時間…

マンホール

Yさんが中学生の時のことだという。 彼がいつものように帰り道を歩いていると、前方から何か重いものを叩くような鈍い音が聞こえてくる。 一緒に歩いていた友達と音のする方へ行ってみると、音は路上のマンホールから響いていた。 ゴン、ゴンッ。 誰かがマン…

ビニール袋

Mさんが高校一年生の冬のことである。 風邪で高熱を出して学校を休んだ彼女だったが、薬を飲んでずっと寝ていたところ昼頃には熱が引いた。 しかし流石にまだ頭がくらくらするので、軽く食事をしてからまた自室で横になっていた。 しばらく寝ていたのでそう…

槍よ来い、早く来い

以前作りかけの写真を掲載した獣の槍が完成したので。 形ができてサーフェイサー吹いたところ。 石突は取り外しできるように軟質素材にしました。 塗装したところ。 写真だと白っぽいですがもう少し青いです。 例の一文も(一応)彫ってあります。 写真だと…

素振り

大学を卒業するまで実家住まいだったFさんは三年ほど前、就職を機に念願の一人暮らしを始めた。 1DKの狭いアパートだったが、開放感に浸っていた彼にはそれで十分満足な部屋だった。 そうしてその年の冬のことだったという。 夜の十時頃に帰宅したFさんだっ…

無常

かつて指導して頂いた音楽家の塩谷晋平先生が亡くなったと聞く。精力的にご活躍中だと思っていたが、癌だったとのこと。残念です。 今度の日曜は文学フリマとのこと。大学の先輩が本を出すという。今回は都合が悪くて行けないのですが……。 『THE LAST WANNAB…

人魂

Aさんは埼玉の実家で人魂を見たことがあるという。 夜中、廊下の向こうに白っぽい塊が浮かんでいる。 それを見た途端にAさんはなぜか「あ、人魂だ」と思ったらしい。 その時はそれ以上確かめようという気も起こらず、そのまま部屋に戻って寝た。 翌朝になっ…

我屬在蒼月胸中到誅白面者

何となく思い立ったので獣の槍製作中。 ジエメイ部分はアクリル板を削って作成、ギリョウさん部分はプラ板と3mm径アルミ棒。 アルミ棒を使ったのは近所に同じ径の丸プラ棒が売ってなかったので……。 あとは細かいところをパテか何かで作ってから塗装する予定…

夕焼け

ある山間の中学校のグラウンドで、放課後に野球部が練習をしていた。 その日は朝からずっと快晴で、夕方には綺麗な夕焼けが見えていた。 顧問の先生は出張で不在だったが、みな真面目に練習に打ち込んでいたという。 しかし突然数人の部員が、校舎越しに見え…

坊主頭

Yさんが高校二年生の時の話。 昼休み、食事の後で友人と雑談をしながら窓の外を眺めていた。 教室は二階にあり、窓の下はグラウンドへの通り道になっている。 午後の授業が近づいてくると、眼下を体操服姿の生徒がぽつぽつ歩いて行った。 見るともなしに彼ら…

部室の女

Yさんの通っていた高校には部室棟と呼ばれる細長い建物があり、運動部はその一、二室をそれぞれ部室として宛てがわれていた。 ハンドボール部だったYさんが練習後に部室で仲間と雑談しながら帰り支度をしていると、開け放っていたドアの前を真っ赤な人影が通…

電子レンジ

Nさんという男性が自宅の電子レンジを捨てた。 壊れたわけではない。 家に置いておくのが嫌なのだという。 新しいものを買うつもりもないらしい。 聞けば、こんなことがあったのだという。 休日に彼女と二人で山へ出かけた。 登山というほどのものではなくて…

ただいま

会社員のNさんは、休日でも必ず午後三時から五時くらいにかけて外出するという。 彼が今住んでいるアパートに引越してきたのは二年前のことである。 民家の二階を改造した2DKの部屋で、駅から少し距離があるために家賃も格安だった。 日曜日に引越しをして…

電話

Kさんという男性が転勤になり、支店長を任されることになったのだが、その支店が何やら曰くつきだったらしい。 三階建てのビルの一階が店舗で、二階が資材置き場として使われているのだが、どうもこの二階に誰かがいるような気がするのだという。 閉店後、ア…

県道

Sさんが住む街の外れを通る県道には、怪しいことが起こるという噂が以前からあった。 何の変哲もない山際の道路で、特にそこで事故や事件が起きたという事実もない。 だがその辺りを通ると、なぜか汗をびっしょりかいたり背筋に寒気を感じたりする人が多いの…

アニメを録画しているが見るのが全く追いついていない。見なくてもいいアニメはないものか。 『世界樹の迷宮IV』に一区切りつけて『ソウルハッカーズ』をやっていたがそれもベルゼブブ前まで行った。ブブさんを倒すか、先に悪魔全書をコンプリートするか迷っ…

ざわめき

Sさんが中学三年生の時の話。 授業中、隣の教室からざわつく声が聞こえてきた。 Sさんのクラスは先生が説明をしているところだったので、隣の騒ぎがよく響いた。 何で盛り上がっているのかわからないが、笑い声や叫び声が混じった大変な騒ぎようである。 隣…

図書室

Sさんは中学一年生の時、図書委員になった。 図書委員の仕事として、図書室の開け閉め当番がある。 図書室は普段施錠されているので、図書委員が昼休みと放課後に開放するのである。 Sさんが図書委員になった時、先輩から言われたことがあった。 当番を忘れ…

案山子

Hさんが結婚して間もない頃の話というから、二十年近く前のこと。 その日も仕事を終えてからまっすぐ帰ってくると、車をアパートの駐車場に駐めた。 車から降りたところで煙草を切らしていることに気が付き、歩いて五分くらいの所にある自動販売機に向かった…

黒煙

十年近く前のことだという。 新車を買ったUさんが早速、次の休日に彼女を連れて隣県の峠にドライブに行った。 高台の公園で彼女の作った弁当を食べ、あとは街に下りて買い物でもして帰ろう、という時のことである。 助手席の彼女が「あれ、火事?」と斜め前…

ようこ

Fさんが就職してすぐの頃に住んでいたアパートでの話。 部屋に訪ねてきた人がほぼ確実にしてくる質問があった。 「ようこって誰?」 なぜそんなことを聞いてくるのかと聞き返してみると、Fさんがそう呟いたのだという。 Fさん自身には「ようこ」という名前の…

チバテレビで『ふたりはプリキュア Max Heart』が終わって『ふたりはプリキュア Splash Star』が開始。第一話を観た。 本放送時には観ていなかったんで特に気にしていなかったのですが、改めて見ると主役二人のデザインが前作の二人の宇宙一巡後の姿のように…

赤ん坊

Oさんが中学一年生の時の話。 休日に友人ふたりと約束して市内の川に釣りに出かけた。 河原に腰掛けてしばらく釣りをしていると、Oさんの隣で釣りをしていた友人が呟いた。 「何か変なのが見える」 「変なのって何よ?」 Oさんが聞き返すと、その友人は対…

ウーファンズブートキャンプ

久しぶりにサンデー読んだら『月光条例』で桃太郎が消滅していた。「天女と麦つかい」とは訳が違うじゃないですか。こんな展開、岡山県民が黙っていないのではないでしょうか。 或いは桃太郎が消滅しても岡山県が存在する限り第二第三の桃太郎と続き、最後の…

漁船

水戸での話だという。 四階建てのビルの三階で会議が行われていた。 南側の壁が一面ガラス張りになっている会議室で、そのガラスの手前にホワイトボードを置いて一人がプレゼンテーションをしていた時のことである。 ホワイトボードに集中した視線のその先で…

虫刺され

先週の話だという。 深夜にMさんがふと目を覚ますと、左足の裏がとても痒い。 明りを点けて見てみると、足の裏が何箇所か赤く腫れている。 なぜか、左足ばかり集中して蚊に刺されたらしい。 数えてみたら六箇所も刺されている。 痒くてたまらないので、別室…

長い指

不動産会社に勤めるKさんが独身の頃、同僚のTさんから深刻な顔で頼み事をされた。 一度家に泊まりに来てくれないか、と言う。 それまで特別親しくしていたという相手でもなかったので、まず理由を聞いてみた。 するとTさんは少し躊躇してから、最近よく眠…

犬がいる

ショッピングモールの警備員をしていた人の話。 「店内に犬がいるんですけど……」 店員からそう言われることが何度か続いた。 いずれも閉店後のことであり、営業時間内にそういう報せがあったことはなぜか一度もなかった。 店員達の話を聞いてみると目撃した…