2013-10-01から1ヶ月間の記事一覧

実家の古い家が老朽化したので取り壊すことになった。私が高校生くらいまで暮らした家だ。取り壊しにあたって家の中にあるものを全て片付けなければならない、ということで今年の夏一杯はずっと片付けと掃除に追われていた。 そして95-97年くらいの少年サン…

ある土曜日の夕方のことだという。 学生のTさんがリビングで寛いでいると、社会人の姉が血相を変えて玄関に駆け込んできた。 力一杯ドアを閉め、慌てて鍵をかけるとその場にへたり込んで震えている。 驚いたTさんが顔を出すと、姉は彼女にしがみついて泣きだ…

文学フリマとかガッチャとか

先回の大阪のイベントに引き続き、また小説をひとつ書かせていただきました。第十七回文学フリマに参加するサークル「たびね町」発行の『十一月荘』第4号に載る予定でございます。 スペースは「F-24」とのことでございます。文学フリマWebカタログ サークル…

近所の橋の上に大きな魚が転がっていた。十日前くらいの話である。鳥が落としていったのだろうか、或いは車の荷台から落ちたのだろうか、とその時はそれくらいの可能性しか思い浮かばなかった。車の通りが多い道で、歩道はまた並行した別の橋があるから誰に…

蛍光灯

Hさんが学生の時の話だという。 遅くに帰宅して、自室で着替えようとしたところ、部屋の灯りが点かない。 ドアのすぐ脇にあるスイッチを何度もオンオフしてみるものの、部屋は暗いまま。 蛍光灯が切れたのかな?とうんざりしながら更に何度かスイッチを連打…

衣装ケース

十五年ほど前のことである。 ある会社で、従業員の女性がひとり、始業時間になっても現れない。仮にその女性をAさんとする。 電話をかけても誰も出ないので、仕方なくAさんの実家に連絡した。 早速Aさんの母親がAさんの暮らすアパートを訪ねてみたが、やはり…

お面

夜十時過ぎのことだという。 飲食店で働くTさんは仕事を終えて、店の裏に駐めてある車の所にやってきた。 鍵を開けようとしながら何気なく後部座席に目をやると、白っぽくて丸いものが見えた気がした。 運転席の真後ろあたりだ。 当初はちらりと視界をかすめ…

居酒屋

Hさんという主婦が、隣町の居酒屋まで夫を迎えに行ったときのこと。 店の出口が見える位置に車を駐めて夫が出てくるのを待っていた。 迎えを呼ぶ電話があってから家を出たので夫はすぐに出てくるはずだったが、Hさんはそのまま少し待たされた。 待っている間…