2007-10-01から1ヶ月間の記事一覧

六十/ ぬいぐるみ

宴会のため夜遅くなった帰り道、飲み物を買おうと道端の自動販売機の前で立ち止まり、どれにしようかと一通り見回して、Sさんはふと異物に気がついた。自販機の下部、取り出し口の蓋に猫のぬいぐるみが挟まっている。クレーンゲームの景品くらいの大きさだ…

五十九/ 渋滞

Eさんは車を運転中、運悪く渋滞に捕まってしまった。歩いた方が速いくらいのスピードでしばらく進んでゆくと、行く手にある交差点の少し手前、片側の車線をボンネットのひしゃげた自動車が塞いでしまっている。どうやら交通事故が渋滞の原因のようだった。…

小泉八雲「破約」をギャルゲーにしてはどうなのよ

「破約」あらすじ。ある武士の妻が病死する。妻は死際に夫に向かって再婚しないことと自分を庭の梅の木陰に葬るよう願う。夫はこれを約束する。望みどおり妻は庭に葬られたが、一年ほどして夫は周囲の勧めに負けて新たに若い花嫁を迎える。やがて元の妻は新…

猫の葬式 (65/100)

秩父の山中に猫風呂という集落があった。あった、というのは既に無人の廃村だからである。過疎化によって廃村が決まり、昭和六十年を以て全住民が他所へと移って以来、滅多に訪れる人もなかったようである。 しかし最近この村に人が住んでいるのではないか、…

五十八/ 夢の中 その二

Iさんは郊外に買った一軒家に引越ししたその晩から、同じ夢を見るようになった。夢の中で気がつくと同じ部屋の中にもう一人誰かの気配がする。そちらを向くと、部屋の片隅の机に向かって見知らぬ若い男が寂しげに座っている。Iさんの位置からはその横顔し…

五十七/ 夢の中 その一

Nさんの母方のおばあさんは二つ隣の町に住んでいて、Nさんは幼いころからよく泊りがけで遊びに行っていたのだが、そのときに必ず見る夢があった。 一階の部屋で寝ていると、ふと気がつく。眠りに就いた時のまま布団に横になっているのだが、どうも部屋の様…

音声ソフトとシャーマニズム

初音ミクやディレイラマといった、近頃流行の音声ソフトについて考えてみる。個人的にはディレイラマ派です。彼らは恐らく伝説の巌娜亜羅十六僧と密接な繋がりがある。知っているのか雷電ーッ!? 仮面劇というものは世界各地に古来より見られる芸能形式なのだ…

五十六/ 蔵の中

大学院で近世文学を専攻していたUさんは、ある時三重県の山中にある旧家へ資料を見せてもらいに行ったことがある。 母屋で幾つか貴重な資料を見せてもらい、それについて御当主に色々話を伺ったところ、話が弾んで随分気に入られた。そのお蔭で、土蔵にある…

五十五/ 緑の小人

Sさんが学生の時分、休日に友達のTさん、Kさんと車で遊びに行った帰り道のこと。 街中を走行中、後部座席にいたTさんが突然「あっ、小人」と声をあげた。SさんとKさんが聞き返すと「うん今、道端に小人がいた」と言う。詳しく聞いてみるとその小人の大…

生肉

ダイアリーの表示モードを変えてみたら今までのブックマークとスタープラチナが全部表示されなくなってしまったので、何だこの下等生物め元に戻しやがれと仰る方がいらっしゃったら戻します。まあ不便なのは私自身くらいな気もしますが。 なんで食人賞の集計…

黒い男たち

最近『ザ・シェフ』が文庫で出ているので読んでいるのですが、この作品は要するに『ブラック・ジャック』の様式で書かれている作品です。BJといえば個人的には幼少時の愛読書で「五千万いただきましょう。いやならいいんですぜ。この病気は私以外には治せま…

五十四/ やすりがけ

Tさんは高校生の時、夏休みを利用して原付で二週間ほど旅行したことがある。お金はなかったので寝場所は主に屋根のあるバス停や公園などを利用していたというが、一度だけ神社に入り込んだことがあった。そこは小さな無人の社で、鍵は壊れていたのか最初か…

五十三/ 蛇球

Mさんは子供の頃、蛇を殺そうとしておじいさんにひどく叱られたことがある。おじいさんは後でその理由を教えてくれた。 おじいさんは子供の頃、よく蛇を殺して遊んでいたそうだ。大体蛇がどこに潜んでいるのか見つけるのが得意で、暇さえあれば山で蛇を獲っ…

山田いじめ (62/100)

山田が学校の用具室で首を吊った。学校関係者も警察もマスコミも、イジメが原因だろうかと当初は色めきたったが、調べても一向にその気配が見つからない。遺書も無かったので結局彼がなぜ自殺したのかは不明のままで、恐らく勉強か人間関係あたりの悩みでノ…

百物語 握力さんが山をお降りになった。

最後の一葉

夕方、河原にてかねてより思案の水切りの工夫を練っていたら、いつの間にか隣に知らない女学生がやってきて一緒に石を投げ始めた。歳の頃十七八、近所の高校の制服を無難に着こなして、髪はいまどき珍しい黒髪を後ろで一本にまとめた質素と言うか地味と言う…

五十二/ 赤い布

アパート住まいの主婦Iさんが夕方、ベランダで洗濯物を取り込んでいるとちょうど眼下の道を旦那さんが帰ってくるのが見えた。Iさんが手を挙げて合図すると、旦那さんも気付いてIさんの方を見上げたが、そこで何故か血相を変えて、息せき切って走って帰っ…

五十一/ 陳列棚

Hさんは学生の頃の一時期、コンビニエンスストアでアルバイトをしていた。ある日の夜勤の時のこと。深夜で客もいないので、スタッフルームで少し休憩して、掃除でもしようと店内に戻った。初めは、眠気で目がおかしいのかな、と思ったらしい。店内が妙に白…

「食人賞」が盛況すぎる。皆さんの食欲と良識が眩しい。私はどっちかっていうと作る人なんですが。秋山の魔法にかかればどんな食材も美味しく調理。好きなキャラは五行です。 注文していた中山昌亮『不安の種』一〜三巻が届いたので一気読み。かっこいいなあ…

初音ミクを描いてみた

この深夜に何描いてるんだろう私は。