リビング

高校生のBさんが両親と一緒に外出して帰宅したときのこと。
父は車を車庫に入れるので、Bさんと母が先に車を降りて家に入った。
玄関の鍵を開けた母が先に靴を脱いで上がり、Bさんがその後に続いた。手を洗おうと洗面所に向かう途中、リビングの様子が目に入った。
ソファーに両親が並んで座っている。二人でテレビを見ている。よくある日常の光景ではあるのだが。
お父さん、来るの早すぎない? そこが引っかかる。
父より先に車を降りて家に入ったのだから、車庫入れしてから来るはずの父がもうリビングにいるはずがないではないか。Bさんより先に家に入っているのはおかしい。
そこへ洗面所のほうから母がやってきた。手を洗ってきたのだろう。
しかしリビングで父と並んでいる母がどうして洗面所から出て来るのだ。
リビングに目を戻すと、両親の姿はなくテレビも点いていない。
遅れて父も玄関から入ってきた。
どうやらリビングにいたほうは本物ではなかったようなのだが、見た感じでは本人そのものだった。
信じられない思いでソファを触ってみると、誰かがたった今まで座っていたかのように、ぬくもりが残っていたという。