2007-01-01から1年間の記事一覧

表現者は死人なり

ポーランドの作家、作品で自身が犯した殺人を描写これを読んで連城三紀彦『戻り川心中』を連想してしまうのは私だけではないと思う。以下重大なネタバレを含むのでそれでもいいという人だけ続きを読んでください。

お願い

川に迷い込んだアザラシの一覧とかまとめサイトとかあったらいいなと思って探したんですが、見つからないのでご存知でしたらご一報ください。

元アザラシと旅行してこい

多摩川に始まって日本各地の河川にフラフラ迷い込んできたアザラシの話はよく聞かれるので、私の家の近所を流れる太郎川にアザラシが現れるようになったと聞いた時も「へえ、だから?」というくらいの気持ちだった。別段アザラシが好きなわけでもないので見物…

つまり携帯小説は伝奇小説であって卓見と思うが、愚考するにホストはサンカに擬せずとも本来が歓待を職能とする道々の輩であり、中央の権勢の及ばぬ公界の住人ではないだろうか。

四十四/ 海水浴客

Kさんが学生の頃、友人数人と泊りがけで海水浴に行ったことがあった。最後の晩に花火をすることになり、皆で砂浜に繰り出した。夜の砂浜は他に人影もなく、思う様はしゃぎまわることができた。帰ってから数日後、撮影役をしていた友人から連絡があった。撮…

四十三/ 蚊

ある夏の夜のこと。Iさんは右腕に蚊が一匹とまったのを見て、グッと腕に力を入れて口が抜けないようにした。見る見るうちに蚊の腹部が膨れてきたので、頃合と思い左の手のひらを叩きつけた。その瞬間、予想もしなかった水音が響き、左手のひらと右腕の間か…

自分が時々味わっている感覚が「不思議の国のアリス症候群」と言われるものだと最近知りました。なので散歩しながら「チャンピオン」を歌っていたら目が合った近所の猫にいやな顔をされた。ずっと俺のターンになるのがなにより読者として厭なので百物語のほ…

四十二/ 木造校舎 その五(56/100)

こういうこともあった。ある日、休み時間があと一分間くらいになった時にTさんは教室に戻ってきた。教室の引き戸の位置からは廊下にある流しが見える。その時、Tさんの学級のAという児童がそこで水を飲んでいるのが見えた。Aは坊主頭の子供で、他の子と…

四十一/ 木造校舎 その四(55/100)

また、こんなこともあったという。授業中、教室のすぐ外の廊下を歩く音がする。前述のように、この校舎の床板は誰かが歩くとギシギシ音を立てる。平素から校長先生や用務員さんなどが授業中も廊下を通り過ぎていくことはあったので、それだけなら別段気にも…

四十/ 木造校舎 その三(54/100)

夏休みが明けてから少しして、研究授業があった。Tさんも、自分の学級の授業を教育委員会の役員や近隣の学校から来た教員に見せることがあった。その時、授業中の光景を後のレポートの資料として使いたかったので、偶々手が空いていた教頭先生に依頼して何…

三十九/ 木造校舎 その二(53/100)

その少し後。 Tさんが掲示物を作るため、担任する教室で夜遅くまで作業していた時のことである。やっと出来上がった時はすっかり夜も更け、同僚もみな退勤していた。 (すっかり遅くなってしまったな) そう思って窓の外をぼんやり眺めていたが、どうも落ち…

三十八/ 木造校舎 その一(52/100)

Tさんが十五年前に教師として初めて赴任した小学校の校舎は、当時既に築五十年近い木造校舎だった。窓や戸は枠が歪んで開け閉めすると大きな音が鳴る。外壁に至っては何箇所も朽ちている始末。歩くとギシギシ鳴る床は板が歪んで隙間が目立つだけでなく、子…

一度に五話は書きすぎと思ったんですがTさんから聞いた話が大層面白かったので仕方ないですよね。http://d.hatena.ne.jp/wonder88/00010101

三十七/ 繁盛している美容院(50/100)

Hさんがその美容院に行ったのはその日が初めてだったのだが、入った瞬間「あ、何かおかしい」と感じたという。 それはともかく髪を切ってもらっていると、向かった鏡越しに店内にいる人が見える。この店は結構繁盛しているようで、人の出入りが多い。しかし…

三十六/ 盆の寒天(49/100)

私の父の話。父の好物のひとつは寒天なのだが、ここ数年口にしていなかった。それをふと八月の頭ごろに思い出して「寒天食べたいなあ、砂糖入れただけの単純なやつ」と思ったらしいのだが、特にそれを誰に言うこともせず、自分で作って食べることもしなかっ…

明日も書きます。http://d.hatena.ne.jp/wonder88/00010101

伝言(43/100)

一週目 ほんとにねえ、あの娘が可哀想でねえ。明日には町を出ていくんだとさ。ジョニーの親のいやがらせのせいに決まってるんだよ。身分が違うとか何とか言ってるけど、あの家だって只の成り上がり者に過ぎないんだ。流れ者と息子を一緒にするわけにはいかん…

三十五/ 幽霊アパート(37/100)

Aさんが学生のときの話。 アルバイト先で知り合った他大学の学生の下宿している部屋に幽霊が出るというので、面白がってアルバイト仲間三人でそのアパートに遊びに行った。出ると言っても何かが見えるということではないらしく、夜中に変な音が聞こえる程度…

三十四/ 披露宴のビデオ(36/100)

Kさんは三年前までの十年間、ビデオ制作会社に勤務していた。その仕事の中でひとつだけ、どうしても不可解なビデオがあったという。どう不可解かというと、見るたびに音声が変わったらしい。 それは結婚披露宴の様子を映したビデオだったという。途中までは…

怪談と聞くとテンション上がる私が今週もやってまいりました。 ちょっといい話。盆入りしてから近所の犬がやたら夜中に吼えます。おそらく大勢帰ってきているのでしょう。http://d.hatena.ne.jp/wonder88/00010101

三十三/ 背後(29/100)

Sさんは高校生のとき、吹奏楽部に所属していた。 ある日の合奏中のこと。パシーン!という大きな音がして、指揮者が頭を押さえた。定規か何かで勢いよく叩いたような音だったという。指揮者は不思議そうに後ろを振り向くが、何も変わったところはない。皆は…

三十二/ 水滴(28/100)

Mさんが出張でロンドンへ行ったときのこと。予約してあったはずの宿に行くと、手違いで部屋が取れていなかった。どうも予約が一杯らしく、代わりの部屋を用意しろと言っても首を横に振る。Mさんは疲れていて早く休みたかったこともあり、いささか強硬に主…

遠出してました。怪談聞いてきました。途中で蛇尾川通過しました。懲りずに投稿。 http://d.hatena.ne.jp/wonder88/00010101

和傘

高校三年のとき、クラスメートにS君という人がいた。彼はいささか無口ながら温厚で人当たりのよい好人物だったが、少し変わったところのある男でもあった。それが端的に表れていたのが彼の傘である。 修学旅行で京都に行った折、彼は土産に和傘を購入した。…

三十一/ あっ、ごめん(10/100話)

Tさんという女性の話。 その晩彼女は寝苦しさにふと目を醒ました。寝返りを打とうとしたとき、目の前に鏡がある、と思った。何しろ目の前に自分自身の顔があるのだ。自分と向かい合って横になっている。しかし鏡にしてはおかしい。Tさん自身は目を醒まして…

三十/ 百合の匂い(9/100話)

Uさんは子供の頃から同じ夢を何度も見ていたという。見ていたと言うと語弊がある。何しろ目覚めた時には内容はすっかり忘れているらしい。ただ、必ず百合のような強い花の匂いだけが鮮明に印象に残っているという。 彼女が二十歳になって少ししたある日、い…

鬼を談ずれば怪至る

夏だしみんなブログで怪談話を書けばいい(ファック文芸部 - 論理兵站) 百物語(握力) に参加。 平素から季節感なく怪談ばかり書き連ねている私ですが、怪談の旬といえばやはり夏です。できるだけはてな界隈の皆さんに措かれましては怪を語っていただきたいと…

水伝vsツンデレ

ひとつ気になるんですが、 「余計なことしないでよ!アンタなんかに助けてもらわなくても全然問題なかったんだから! この程度でいい気にならないでよね!フン!…… ……い、一応、お礼だけは言っておくわ…… ぁ……ありがとっ……」 みたいな言葉を水に聞かせ続けた…

都会の白いカラス

全ての人間はどす汚れている! (山口貴由『覚悟のススメ』第九十四話「星義」) 「カラスは黒い」と言う命題をくつがえすには何千何万何億の中にたった一羽白い翼のものがいればよい! (山口貴由『覚悟のススメ』第百話「くじけない翼」) 都会といえば人…

二十九/ 古戦場 その二

その大学に通っていたEさんは、キャンパスから徒歩二十分ほどのアパートに下宿していた。友人の中でも一番大学に近い住まいだったので、よく友人達の溜り場になっていた。その日も友人三人と深夜まで飲み会をしていた。日付が変わったころ、友人の一人が幽…