2007-09-13から1日間の記事一覧

四十六/ 素振り

現在剣道の師範をしているHさんは学生時代も剣道部に所属していて、寝る前の木刀の素振りは日課だった。 その学生時代のある夜、庭で素振りをしているとどうもいつもと勝手が違う。なぜだろう、と思いながら続けているとすぐにわかった。木刀が空を切る音が…

四十五/ 閉切り

Yさんの実家は地域でも有数の旧家であって、古くは名主をしていたという。そのため、今でも土地の祭りのある儀式は必ずY家で行われるという。 その儀式というのは、その年の当番がY家の離れで一晩過ごす、というものらしい。ただ漫然と一晩過ごせばいいと…

表現者は死人なり

ポーランドの作家、作品で自身が犯した殺人を描写これを読んで連城三紀彦『戻り川心中』を連想してしまうのは私だけではないと思う。以下重大なネタバレを含むのでそれでもいいという人だけ続きを読んでください。