2007-01-01から1年間の記事一覧

小泉八雲「破約」をギャルゲーにしてはどうなのよ

「破約」あらすじ。ある武士の妻が病死する。妻は死際に夫に向かって再婚しないことと自分を庭の梅の木陰に葬るよう願う。夫はこれを約束する。望みどおり妻は庭に葬られたが、一年ほどして夫は周囲の勧めに負けて新たに若い花嫁を迎える。やがて元の妻は新…

猫の葬式 (65/100)

秩父の山中に猫風呂という集落があった。あった、というのは既に無人の廃村だからである。過疎化によって廃村が決まり、昭和六十年を以て全住民が他所へと移って以来、滅多に訪れる人もなかったようである。 しかし最近この村に人が住んでいるのではないか、…

五十八/ 夢の中 その二

Iさんは郊外に買った一軒家に引越ししたその晩から、同じ夢を見るようになった。夢の中で気がつくと同じ部屋の中にもう一人誰かの気配がする。そちらを向くと、部屋の片隅の机に向かって見知らぬ若い男が寂しげに座っている。Iさんの位置からはその横顔し…

五十七/ 夢の中 その一

Nさんの母方のおばあさんは二つ隣の町に住んでいて、Nさんは幼いころからよく泊りがけで遊びに行っていたのだが、そのときに必ず見る夢があった。 一階の部屋で寝ていると、ふと気がつく。眠りに就いた時のまま布団に横になっているのだが、どうも部屋の様…

音声ソフトとシャーマニズム

初音ミクやディレイラマといった、近頃流行の音声ソフトについて考えてみる。個人的にはディレイラマ派です。彼らは恐らく伝説の巌娜亜羅十六僧と密接な繋がりがある。知っているのか雷電ーッ!? 仮面劇というものは世界各地に古来より見られる芸能形式なのだ…

五十六/ 蔵の中

大学院で近世文学を専攻していたUさんは、ある時三重県の山中にある旧家へ資料を見せてもらいに行ったことがある。 母屋で幾つか貴重な資料を見せてもらい、それについて御当主に色々話を伺ったところ、話が弾んで随分気に入られた。そのお蔭で、土蔵にある…

五十五/ 緑の小人

Sさんが学生の時分、休日に友達のTさん、Kさんと車で遊びに行った帰り道のこと。 街中を走行中、後部座席にいたTさんが突然「あっ、小人」と声をあげた。SさんとKさんが聞き返すと「うん今、道端に小人がいた」と言う。詳しく聞いてみるとその小人の大…

生肉

ダイアリーの表示モードを変えてみたら今までのブックマークとスタープラチナが全部表示されなくなってしまったので、何だこの下等生物め元に戻しやがれと仰る方がいらっしゃったら戻します。まあ不便なのは私自身くらいな気もしますが。 なんで食人賞の集計…

黒い男たち

最近『ザ・シェフ』が文庫で出ているので読んでいるのですが、この作品は要するに『ブラック・ジャック』の様式で書かれている作品です。BJといえば個人的には幼少時の愛読書で「五千万いただきましょう。いやならいいんですぜ。この病気は私以外には治せま…

五十四/ やすりがけ

Tさんは高校生の時、夏休みを利用して原付で二週間ほど旅行したことがある。お金はなかったので寝場所は主に屋根のあるバス停や公園などを利用していたというが、一度だけ神社に入り込んだことがあった。そこは小さな無人の社で、鍵は壊れていたのか最初か…

五十三/ 蛇球

Mさんは子供の頃、蛇を殺そうとしておじいさんにひどく叱られたことがある。おじいさんは後でその理由を教えてくれた。 おじいさんは子供の頃、よく蛇を殺して遊んでいたそうだ。大体蛇がどこに潜んでいるのか見つけるのが得意で、暇さえあれば山で蛇を獲っ…

山田いじめ (62/100)

山田が学校の用具室で首を吊った。学校関係者も警察もマスコミも、イジメが原因だろうかと当初は色めきたったが、調べても一向にその気配が見つからない。遺書も無かったので結局彼がなぜ自殺したのかは不明のままで、恐らく勉強か人間関係あたりの悩みでノ…

百物語 握力さんが山をお降りになった。

最後の一葉

夕方、河原にてかねてより思案の水切りの工夫を練っていたら、いつの間にか隣に知らない女学生がやってきて一緒に石を投げ始めた。歳の頃十七八、近所の高校の制服を無難に着こなして、髪はいまどき珍しい黒髪を後ろで一本にまとめた質素と言うか地味と言う…

五十二/ 赤い布

アパート住まいの主婦Iさんが夕方、ベランダで洗濯物を取り込んでいるとちょうど眼下の道を旦那さんが帰ってくるのが見えた。Iさんが手を挙げて合図すると、旦那さんも気付いてIさんの方を見上げたが、そこで何故か血相を変えて、息せき切って走って帰っ…

五十一/ 陳列棚

Hさんは学生の頃の一時期、コンビニエンスストアでアルバイトをしていた。ある日の夜勤の時のこと。深夜で客もいないので、スタッフルームで少し休憩して、掃除でもしようと店内に戻った。初めは、眠気で目がおかしいのかな、と思ったらしい。店内が妙に白…

「食人賞」が盛況すぎる。皆さんの食欲と良識が眩しい。私はどっちかっていうと作る人なんですが。秋山の魔法にかかればどんな食材も美味しく調理。好きなキャラは五行です。 注文していた中山昌亮『不安の種』一〜三巻が届いたので一気読み。かっこいいなあ…

初音ミクを描いてみた

この深夜に何描いてるんだろう私は。

白鷺

田んぼに水をはる前と稲刈りが終わった後には、田おこしという作業をする。土を耕してやって、雑草が生えるのを防いだり、平らに均したりするのだ。この作業をしていると、近辺に棲息している鳥、特に白鷺が沢山集まってくる。田んぼを耕すトラクターの周り…

挙手

もし部外者枠があるならば第二回ファック文芸部杯参加希望します。白人の走り方で。

五十/ 増えた先生

Mさんが高校生の時の話。午後の授業中についつい睡魔に負けて、数分間机に突っ伏した。気がついてみるとどうやら居眠りしていたのは僅かな間だけだったようで、授業はほとんど進んでいなかった。 しかし、変わっていることがあった。なぜか先生が二人いる。…

四十九/ 引っ張る

Tさんが背中まであった長い髪をばっさり切った。「最近ね、部屋の中で子供が騒ぐの。それだけじゃなくて、面白がってるのか、時々髪を引っ張られたりしたの。鬱陶しいから短くしちゃった。そうしたら声もしなくなって。多分、髪形が変わったから誰だかわか…

怪談を煽ってみる

怪談は、 ほどほどの長さ(短編が多い・短編が適している) 読む時と場所を選ばない(あらゆる状況それぞれに適した怪談がある) といった点からケータイ小説に実に適したジャンルだと思うので、みんな携帯端末向けに怪談を書けばいいと思いました。単に私が…

四十八/ 地震犬

Oさんの住んでいる町が、さる大地震で甚だしい被害を受けた時のこと。避難するときにお隣の前を通りかかると、お隣さんは一家揃って家の前に出ている。お隣の家は一階部分が無残に潰れて、とても中にいたら助からなかったような有様だ。しかし、地震が発生…

四十七/ 移動する影

ある日の夜、Sさんが日課である愛犬の散歩をしていた時のこと。月の明るい晩で、道沿いの電柱の影が伸びているのがはっきり見えた。Sさんがある地点まで差し掛かったとき、足元に伸びる電柱の影がにゅっと動いた。隣の電柱の影はそのままなので、光源が動…

好きな未確認生物はモスマンとニンゲンです

ブクマコメントにあった別役実のあざらし記述を探しに書店に行ってみたのですがそれらしいものは見つからず。多分『けものづくし』辺りではないかと思うのですが。 代わりに買ってきた高野秀行『怪魚ウモッカ格闘記』(集英社文庫)が大層面白かった。それで俄…

―――の電話(60/100)

電話が鳴った。 「私、―――さん。今おうちを出たところ」 すぐ切れた。悪戯電話だろう、と思った。またすぐに鳴った。 「私、―――さん。今、川を渡ったところ」 ひやりとした。そんなはずはないのに。また鳴った。 「私、―――さん。今、あなたのおうちの前にい…

河川のアザラシまとめ

自分で作ってみました。 近年、本州の河川にアザラシが現れる例が多くなってきました。それに従い、「おらが村の川にもアザラシを呼んで村おこしに」「ウチの学校にもアザラシを」「アザラシの子を生みたい」などなど巷でもアザラシ欲の高まりは留まるところ…

四十六/ 素振り

現在剣道の師範をしているHさんは学生時代も剣道部に所属していて、寝る前の木刀の素振りは日課だった。 その学生時代のある夜、庭で素振りをしているとどうもいつもと勝手が違う。なぜだろう、と思いながら続けているとすぐにわかった。木刀が空を切る音が…

四十五/ 閉切り

Yさんの実家は地域でも有数の旧家であって、古くは名主をしていたという。そのため、今でも土地の祭りのある儀式は必ずY家で行われるという。 その儀式というのは、その年の当番がY家の離れで一晩過ごす、というものらしい。ただ漫然と一晩過ごせばいいと…