夜風

Eさんは首筋に吹き付ける風を感じて目を覚ました。
深夜、自室でテスト勉強をしていたのだが、いつの間にか机に突っ伏して眠り込んでいたようだ。時計を見ると午前三時。
風はひょうひょうと音を立てて吹き込んでいて、窓のカーテンがはためいている。寒い。
窓を閉めようと腰を浮かせたとき、そういえば、と疑問を持った。窓を開けた覚えがない。
なんで開いてるんだ、と呟いた瞬間、風がふっと止んでカーテンがぴたりと動かなくなった。
急に風が収まったな、と思いながら窓を確認するとぴったり閉まっており、ガラスに自分の顔が映っている。
じゃあ今の風はなんだったの、寝ぼけてる?
どういうこと、と首をひねってから、もうひとつ奇妙なことに気がついたEさんは慌ててカーテンを閉めた。
首をひねったときも、ガラスに映った自分は直立した姿勢のままじっとこちらを見つめて動かなかったのだ。
もうその夜はテスト勉強どころではなかった。