部屋に棚を作るため、ホームセンターに買い出しに行った時の話。
日曜日の店は親子連れも多く、小学生くらいの子供が我が物顔に店内を走り回っていた。
どうしてこういうの親は放っておくんだろう、危ないじゃないか。
そう思いながら板や金具といった材料を探していると、資材売り場の陳列棚の角から顔を出した子供と視線が合った。
人懐っこい子のようで、あんまり無邪気ににっこり笑ったものだからこちらも思わず微笑み返した。
その子は棚の角から顔を半分ほど出したまま、楽しそうにニコニコこちらを見ている。
何がそんなに面白いんだろう、と思いながらその場を離れて他の陳列棚を見て回った。
そしてもう一度資材売り場に戻ってくると、先程と同じ位置にあの子がまた顔を出した。
再び目が合う。お互いニッコリ笑った。
今度はその子がいる辺りの商品も見てみようと、陳列棚を物色しながら歩いていった。
近寄っていく間も子供は笑いながらこちらをじっと眺めている。
棚の端まで来た時、ふと子供の方に目をやってみると。
えっ……?
棚の角を境目にして、ぷっつりと断ち切られたような子供の顔だけが、空中に浮かんでいる。
はっと息を飲んだその瞬間、半分だけの子供の顔はニコニコしたまま滑るように棚の陰に引っ込んで見えなくなった。
結局その日は何も買わずにすぐ帰ったという。