蛇を踏みました

先週のある日玄関から一歩踏み出した瞬間、足の裏にぐにゃりとした感触を覚えました。違和感から咄嗟に足を上げると、足元を逃げていく一メートルほどの長虫がいました。気持ちよく伸びていたところを踏みつけてしまったものでしょうか。このあたりで目にする蛇と言えばアオダイショウ、シマヘビ、ジムグリといったところですが、目の前の蛇はアオダイショウのようでした。
かつては祖父が鶏を飼っていて卵を守る為、蛇を見つけたら祖父が飛んでいって必ず打ち殺さずには置かぬという塩梅でしたが、現在は祖父も鶏もいなくなり、別段悪さをされるような気遣いも無いので私も放っておきます。慌てて去ってゆくその背中に、とりあえず踏んだことを詫びました。
そしてつい昨日のこと、庭の山茶花の枝に同じくらいのアオダイショウが巻きついているのを見つけました。大きさからして恐らく踏んでしまったやつと同じ個体でしょう。今度は相手がこちらの目の高さにいるのでいささか面食らいましたが、相手はじっとしているだけなので気を取り直してよく観察してみました。長さは一メートルあまり、一番太いあたりの直径は4センチといったところです。頭から尻尾まで見てゆくと緩やかに太さが変わっていて、真ん中より少し後ろあたりが一番太く、頭から少し後ろあたりまでは意外とほっそりしています。大きさの割には顔も思いのほか小作りで、よく見ればなかなか穏やかな顔をしています。というのも多くの蛇が瞳孔の細い猫目をしているのに対し、アオダイショウの瞳孔は丸い。そのため蛇にしては眼がパッチリして見えます。
折角じっとしてくれているのだから写真の一枚でも撮ろうと思ったのですが、写真を撮る習慣が乏しいためデジカメの電池が生憎充電切れでした。やむなく携帯電話のカメラで何枚か撮りましたが、顔の辺りを撮ったものは逆光で何がなにやらわかりにくいものばかりでした。


注連縄は蛇の交尾を模したものである、という説をかつて『蛇 日本の蛇信仰』(吉野裕子)で読んだ覚えがあります。私は生で見たことはありませんが、蛇の交尾といえば聞くところによると長い体を絡みつかせた状態を長時間持続させてそれはもう濃厚だということです。更には雄の生殖器は4本あり、鉤になっているとか何とか。足がない分そういうところが豪華主義なのか。蛇は。
"蛇 交尾"で検索すると色々出てきます。写真の生々しいこと。