ついでにこの大叔父の日誌について少し補足しておきます。
数年前のことです。我が家の仏壇の引き出しから、五冊の小冊子が見つかりました。
表紙には「生徒日誌」とあり、その脇に大叔父、つまり私の祖父の弟の名前が書いてありました。どうやらこれは、大叔父が旧制中学の生徒だった時に毎日書いて教師に提出していたもののようでした。
この大叔父という人はなかなかの秀才だったようで、のちに大東亜省の特待生として天津へ留学するのですが、そこで病に倒れ、二十歳の若さで客死してしまいます。中学校の日誌が仏壇にしまわれていたのは、これが数少ない遺品だからということなのでしょう。