自動車泥棒

ここ数年、市の警察署から自動車の盗難に注意すべしという勧告が何度も出ている。
実際、車の盗難が多発しているらしい。
今日、その窃盗犯のやり口について話を聞いた。なかなか興味深かったので紹介したい。
犯行はかなり組織的に行われているらしい。以下、その大まかな手順。

  1. 「顧客」がいて、これこれこういう車が欲しい、という「依頼」が来る。
  2. 「依頼」の条件に合致した車を街で探し出し、尾行する。
  3. 尾行して判明した家に窃盗の実行係が出向き、車を盗み出す。
  4. 盗み出した車は運搬係が他所に運ぶ。
  5. 何らかのルートを通った盗難車が「顧客」に渡される。


3.の担当者は鍵開けだのエンジン直結だのといった技術を持った、盗難のスペシャリストだとか何とか。
感心してしまったのは、分業制になっているところ。
組織化されていない自動車泥棒は、3.を担当する技術者が一切の行程を単独あるいは少人数で行わなければならなかった。
工業に例えると、家内制手工業であり、職人による手作業である。
それに対し、上記の組織化された自動車泥棒は、いわば工場制手工業(マニュファクチュア)であろう。
役割分担をすることにより、より効率化がはかられているのである。


人類の工業形態は家内制手工業→問屋制家内工業→工場制手工業→工場制機械工業といった具合に発達してきたとされる。
犯罪も、収入を得る手段として捉えた場合は経済活動の一種であり、工業の歴史をなぞる形で発達しているのは大変興味深い。