七十三/ 新雪 その一

その日、Kさんは友達のIさんと二人で学校を出た。
明け方から降っていた雪はだいぶ小降りになっていて、持っていた傘もほとんど必要ないくらいだった。人通りがあまりない道で、雪がずっと降っていたので二人の通ってきた後には二筋の足跡だけがきれいに付いた。
途中でIさんと道が分かれたとき、Kさんはふと違和感を持ったという。Iさんの歩いてゆく後姿を見つめてみるが、特に変わったところはない。
気のせいかなと思って視線を戻しかけて、やっと変な所に気がついた。
Iさんがひとり歩いてゆく後には、別れる前とまったく同じに二筋の足跡が付いていたのだ。