二十三/ うわっ

Oさんはその日、ひどく疲れていたので帰宅して自室に入るなりすぐさまベッドに倒れこんだ。
枕に顔を押し付けた瞬間「うわっ」と小さく声がして枕の下で何かがもぞっと動いた。
Oさんは飛び起きてベッドから離れると枕を観察してみたが、枕はいつもの見慣れた枕である。
それから動く気配が一向にないので恐る恐る枕を跳ね除けてみたが、下にはただ布団があるだけで変わったところはない。
しばらくそのままにしてみても特に変化がないので、Oさんは改めて寝ることにした。
後になってから思い返してみて「うわっ」という声が本当に意外そうな声だったので、Oさんは少し悪いことをしたかな、と思ったという。