「食人賞」が盛況すぎる。
皆さんの食欲と良識が眩しい。
私はどっちかっていうと作る人なんですが。
秋山の魔法にかかればどんな食材も美味しく調理。
好きなキャラは五行です。


注文していた中山昌亮『不安の種』一〜三巻が届いたので一気読み。
かっこいいなああそぼうおじさん
どう見てもそういう趣味の人。室蘭始まったな。
あそぼうおじさんとキューコン女に殴り合いしてほしい。ファイト・クラブだ! かかってきやがれ!
不安の種オンリーイベントの可能性を未来に。おちょなんさんフィギュア化はまだですか?

五十一/ 陳列棚

Hさんは学生の頃の一時期、コンビニエンスストアでアルバイトをしていた。
ある日の夜勤の時のこと。
深夜で客もいないので、スタッフルームで少し休憩して、掃除でもしようと店内に戻った。
初めは、眠気で目がおかしいのかな、と思ったらしい。
店内が妙に白っぽい。何かが違う。
よく見ようと一歩踏み出して、そこで固まってしまった。
商品を並べた陳列棚が真っ白に見える。
それは、棚一面に真っ白い蛾がびっしりと張り付いていたためだった。
一匹の大きさが手のひらくらいはある大きな蛾が、店内にある全ての棚を埋め尽くしている。
虫の少ない真冬のことで、当然出入り口も閉まっていた。
ほんの少し目を離していただけの間に、一体どこからこんなに入ってきたというのか。
動けないHさんの目の前で、蛾たちは一斉に翅をはばたかせ、舞い上がったかと思うと空気に溶けるように一気に消えた。
気が気でなくなったHさんはビクビクしながら夜を明かすと、翌日そのアルバイトを辞めた。
その店はそれから半年ほどで潰れたという。

五十二/ 赤い布

アパート住まいの主婦Iさんが夕方、ベランダで洗濯物を取り込んでいるとちょうど眼下の道を旦那さんが帰ってくるのが見えた。
Iさんが手を挙げて合図すると、旦那さんも気付いてIさんの方を見上げたが、そこで何故か血相を変えて、息せき切って走って帰ってきた。
旦那さんは帰ってくるなり肩で息をしながら「何もなかったか!?」と聞く。
Iさんはさっぱり訳がわからないながら「別になかったけど? 」と答えると、旦那さんは少し黙り込んで、おもむろにIさんを外に誘った。
近所の喫茶店に落ち着いてから、不思議がるIさんに向かって旦那さんは言った。
「さっき、君がいたベランダの両側……。ウチの部屋と同じ階の部屋のベランダ全部に変な人がいたんだ」
彼らは一様に頭から胸まで真っ赤な布か何かをすっぽり被って、各ベランダに一人ずつ立っていたという。
旦那さんは結婚以来見たこともないような青い顔をしていて、とても冗談を言っているようには見えない。
一人だけならただの変わった人で済むかもしれないが、並びのベランダ全てにとなると流石に異常と言うほかない。
Iさんは、さっき自分がいたベランダの、仕切りを隔てた向こう側にそんな得体の知れないものと隣り合っていたのかと思って初めてゾッとした。
Iさん夫婦はそれからすぐに引っ越した。