大学生のNさんがショッピングモールへ行ったときのこと。
上りのエスカレーターに乗ると、すぐ前に女子高校生らしき制服の二人組がいた。
しかしそのスカートが妙に短く、後にいるNさんの目の高さに裾があって非常に目の毒に感じる。
覗き込んでいると思われるのも嫌なので、Nさんは視線を伏せたまま上の階に着くのを待った。
ようやく前の二人組がエスカレーターを降りたようなので無意識にNさんがふっと視線を上げた瞬間、そこにあった顔と視線がぶつかった。
前を歩いて行く女子高校生のスカートの裾から小さい子供の鼻から上がさかさまにはみ出している。
その黒い目がこちらを見ていた。無表情で何の感情も表れていないような視線だったという。
えっ、と思った次の瞬間子供の顔はスカートの中にスッと引っ込んで、女子高校生たちは何事もなく会話しながら歩いていった。