二十年以上前のこと、当時高校生だったKさんは学校をサボりがちで、友人たちと夜ごとバイクを乗り回して遊んでいた。
そんなある夜、幹線道路沿いのコンビニの駐車場で友人と雑談をしていたところ、友人がKさんのほうを指さして言った。
それ仏像じゃね?
Kさんが腰を上げて振り返ると、今までKさんが腰掛けていたものは確かに何かの像だった。
お地蔵さんなのか他の神様なのか、ちょうど街灯の光が当たらないところでよく見えなかったことと、腰掛けるのにちょうどいい大きさだったのとで、それが何なのか気にすることなく腰掛けてしまっていた。
信心などとは縁のないKさんは仲間の前で気が大きくなっていたこともあり、ふと悪戯を思いついてしまった。右足でその石像の頭部を横から蹴ると、それは台座に固定などされていなかったようで、鈍い音を立ててたやすく横倒しになってしまった。それを見て友人たちもKさんもどっと笑った。
その夜はそれから街をバイクで一回りしてから友人たちと別れ、帰宅してベッドに潜り込んだ。
翌朝になって目を覚ましたのは、激しい痛みのせいだった。
急に激痛を覚えて目を覚ますと、右足首が酷く腫れて二倍くらいに膨らんでいる。歩くどころか痛くて立てない。
それだけではなく、全身至るところに赤い発疹が出ている。そのせいで酷く痒い。
医者に診てもらったところ、右足は骨折しているという。全身の発疹は蕁麻疹ということだった。
昨夜は痛くも何ともなかったし、寝ている間にベッドの中で骨が折れるほどの衝撃を受けるのもおかしい。蕁麻疹になるような変なものを食べた覚えもない。
どういうわけで急にこんなことになっているのか。
思い出したのはコンビニの駐車場での出来事だ。確かにあのとき、右足で石像を蹴った。
骨が折れるほどの衝撃で蹴ったわけではない。
だがもしかすると、あんなことをしたせいで祟られたのではないか。それ以外に心当たりがない。
折れた足ではバイクに乗れないので、親に頼んで車を出してもらい、あの時のコンビニに行ってみた。
ところが駐車場を見回してもそれらしきものが見当たらない。あの時友人たちと座り込んでいたあたりをよく見たが、確かに同じ場所のはずなのに石像などどこにもないのだ。
撤去したにしても、置かれていた痕跡すらない。元からそんなものなどなかったかのようだった。
蕁麻疹は一週間ほどで治まり骨折もやがて回復したが、あの時自分が何を蹴り倒したのか、後々までKさんは気にし続けていたという。