勝浦で民宿を営業しているGさんの話。
Gさんの民宿から百メートルほど歩いたところに古い自動販売機が立っている。
もう長い間放置されており、ところどころ塗装が剥がれて錆が浮いている。当然電源も入っていない。
ところがどういうわけか、民宿に泊まったお客さんの中には時折、この自販機が作動しているのを見る人がいるらしい。
日が暮れた後に外出して、そこを通りかかると自販機の灯りが見える。ちょうどいいと思って飲み物を買う。
するとその後、何か奇妙な体験をするという。ところが何があったか具体的なことを尋ねると、みな言葉を濁す。
とにかく何か変なことはあったらしい。
何か事件でもあったのかと思って、警察に通報しましょうかとGさんが言うとお客さんはそういうのじゃないから、と首を振る。
そんなことが何度かあったので、Gさんは宿泊客にすぐそこの自販機は壊れているから使わないように、と注意するようになった。
それでも言うことを聞かずにその自販機を使って、やはり青い顔をして戻って来るお客さんは今でも時々いるという。
撤去しようにも、自販機が置かれている土地の所有者とは連絡がつかないのでそのままになっているとのことである。