Iさんの職場のスーパーには何かがいるという。従業員の多くが認識しているようだが、正体は一向にわからない。
終業後、灯りを消して帰ろうとすると、暗い中で毛むくじゃらの何かに一瞬手が触れることがある。ただそれだけ。
不審に思って灯りを点けてもそれらしきものは見当たらない。
錯覚で片付けるには体験者が一人二人ではなく、施錠して最後に帰る事になった従業員は店長を含め大抵これに遭遇している。
それが毛むくじゃらの何なのかというと、人によって解釈がまちまちで、犬か何かの感触だったという人もいれば、あれは坊主頭じゃないかという人もいる。
いずれにしても動物ではあるようだ。
しかし毛が触れる以外には足音がしたり息遣いが聞こえたりということは一切なく、生きた何かが侵入しているという様子もないという。
防犯カメラにも不審なものが映ったことはなく、店内が荒らされるようなこともない。営業中に出てくることもないようなので、特に実害もないということで従業員の間では気にしないことにしているという。