友達の祖父母

高校生のE君が友達の家に遊びに行った。
しばらく友達の部屋で過ごしていたが、そのうちトイレに行きたくなった。
友達の家は古い農家で、庭も家も大きい。教えられた通りに長い廊下を辿っていくと、途中に仏間があった。
ふとその中に視線を向けると、座敷にはおじいさんとおばあさんが並んで座っている。
友達の祖父母か。
とっさにE君が会釈すると、おじいさんとおばあさんはにっこりと人の良さそうな笑みを浮かべて頭を下げた。
お邪魔してます、と声をかけながらEくんはそこを通り過ぎ、トイレに行って戻ってきた。
帰りに通りかかった時には仏間の戸は閉じていた。
友達の部屋に戻ってから、E君はさっきのことを話した。
すると友達は怪訝な顔をする。
うちにそんな年寄りはいないと友達は言う。
もしかして亡くなったじいさんとばあさんが出たのか!? と友達は俄然興味を持ったようで、二人で仏間を見に行くことになった。
これが俺が小さい頃に亡くなった祖父さんと祖母さんだ、と友達が示した仏壇の写真は、先程のおじいさんとおばあさんとは全くの別人だった。
いや、こんな顔じゃなかったな……。
じゃあ誰なんだ? と友達は不思議そうに言ったがE君にも答えようがなかった。