Uさんは高校二年生の冬休みにバイクで事故を起こし、足を骨折して入院した。
思うように動けず、寝たきりのためストレスが溜まるばかりで、そのせいかある晩にひどい悪夢を見た。
気が付くと砂浜に首だけ出して埋められている。
抜けだそうとしても指一本動かせないし、助けを呼ぼうとしても声も出ない。
波の音を聞きながらもがいていると、周囲に人が集まってきた。
見上げるとそこにいるのは幼い子どもたちで、みな頭から足の先まで奇妙に真っ白い。
子どもたちはおのおの長い棒を持っていて、それでUさんの頭を叩こうと交互に振り下ろしてくる。
まるでスイカ割りだが、子どもたちの足取りが酔ったようにふらついているおかげで狙いが定まらず、棒は当たらない。
振り下ろされた棒がUさんの周りの砂に当たるたび、子どもたちはさも愉快そうに笑い声を上げた……。
Uさんが目を覚ますと全身に汗をびっしょりかいて、心臓は全力で走った後のように激しく動いていた。
とんでもない夢をみた、と額の汗を拭いながら心を落ち着けようとしていると、見回りに来た看護師が驚いた様子で言った。
どうしたんですかこれ!
ベッドの周りには、前夜にはなかったはずの細かい砂が、床が白くなるほど一面に散らばっていたという。