MM3届いた八十九日目


古くなった道具や長く生きた生物に神霊が宿ることを付喪神という。
だから例の百十余年生きていることになっていた人物も、もはや人を超越して神と言うべき存在になっていた事は疑いようもない。
篭っていた部屋がずっと閉ざされていたのも、神の姿は濫りに覗くべからずという古来の感覚から来るものだったに相違ない。即ちその部屋は結界、神域であり迂闊に中を見た者は必ずや神罰を受け、眼が潰れたり魂を抜かれたりした筈である。
そしてその部屋が遂に開かれたということは、内部に鎮座していた神が物理的世界から昇華して更に高次の存在になっていたことを示すものである。


引き落とされていた年金は賽銭ということか。