豆腐店の八十六日目


豆腐をごはんに乗せて適当にほぐしてから削り節と醤油と気分によっては更に胡麻油かオリーブ油かラー油をかけて食す。
刻んだ葱や茗荷があればそれもかける。
手間要らずで旨い。豆腐を考えた人は偉大であるなあと思いながら食す。


豆腐といえば思い出すのが豆腐小僧で、幼い頃読んだ何かの本にあった記述が印象的だった。
曰く、豆腐小僧は竹林に出る妖怪で、雨が降っている夕暮時に現れる。豆腐小僧はその手に持つ豆腐を出会った人間に勧めるのだが、それを食べてしまうと全身にカビが生える云々。
豆腐食うと全身にカビが生えるとは、豆腐に対する何というネガティブキャンペーンであろうか。
豆腐を名乗りながら豆腐に対するネガティブさをこれ程までに印象付ける豆腐小僧(頭文字T.K)。
渦巻く豆腐への愛と憎。アンビバレンツT.K。
こんな思いをするくらいならば――豆腐など要らぬ!豆腐を拒否した瞬間、豆腐小僧は只の小僧に。