ヤンデレは考えてる時が一番楽しい八十五日目


蓮華王院三十三間堂に安置される膨大な数の千手観音像。
その中には必ず自分や家族と同じ顔をした像が存在すると謂われる。
恋人を事故で失った女性がその面影を求めて三十三間堂を参詣するも、突如激昂して像の一つに掴みかかり、取り押さえられる。
女性が掴みかかった像は確かに亡き恋人とどことなく似通った風貌だったが、なぜ彼女はそんな暴挙に出たのか。
――あの人と似た顔の像が、私に似てない顔の像と隣り合ってるなんて耐えられない。
女性は蒼褪めた顔でそう語ったという。