農としか言わない三十一日目


オタマジャクシの中に後脚が生えた奴がちらほら見られるようになりました。
脚が生えてくると顔も丸顔から角張ってきて、だんだんカエルの顔に変わってきます。
すなわち大人の階段のぼっている訳です。君はもうシンデレラです。
人間で言うと声変わりしたり体型が変化したりして、よく知っているはずの幼馴染の何気ない仕草に異性を感じてしまったりして思わず胸が高鳴ってしまったりする頃でしょうか。その幼馴染は同じ高校に入ったものの次第に疎遠になってしまって、久しぶりにその姿を見た時には部活の素敵な先輩と仲良さそうに歩いてたりする訳です。何となく声をかけるのが躊躇われてしまって、気付かないふりをして反対方向に歩き出したものの、気になるのはあの二人の事ばかりで、久しぶりに見た幼馴染が随分魅力的に思えたりして、あの二人もう付き合ってんのかなとか疑ってしまう訳です。無邪気に幼馴染と遊びまわっていた頃の思い出が蘇ってきて、その頃からあまり成長した気がしない自分と、変わってしまった幼馴染を比べて悶々と一人眠れぬ夜を過ごす十七歳の青い春。