二十八/ 古戦場 その一

都内にある某大学はキャンパスがちょうど戦国時代の古戦場にあたるという。
そのためか幽霊を見たという話があとを絶たない。
特に多いのが「正門付近で武者の幽霊を見た」という話である。
腕を失っていたり、首がなかったりする甲冑姿の武者が体に矢を突き立て、或いは折れた刀を手にして現れるという。
これを見たある人が、知人にそれを話した。
その知人は中近世文学の研究者だったので当時の甲冑に詳しかった。
甲冑の特徴は戦国時代のものに合致したと、その知人は私に語った。