十八/ お化け飛行機

Kさんの郷里には地域の人から「お化け飛行機」と呼ばれるものが現れるという。
Kさんの実家から山ひとつ越えたところに空港があるので、飛んでゆく飛行機が一日中見える。
お化け飛行機はときおり、その中に紛れ込んでいるという。


Kさんが一番最近お化け飛行機を見たのは、学生の時分夏休みに帰郷したときのこと。
夕方庭で水撒きをしていると、空港のある方角とは反対側の山の上を飛んでゆく飛行機が小さく見えた。
何となくそれを目で追っていると、どことなく様子がおかしい。
色は灰色、形は一般的な旅客機と変わらないのだが、何となく見慣れた飛行機より速度が遅い気がする。
気のせいかな?と首を傾げたが、次の瞬間には目を疑った。
主翼のすぐ後ろ辺り、丁度機体の中央付近から前後に分かれたのである。
すわ空中分解か!?とドキッとしたが、前後に離れてゆきながら高度を保って飛び続けている。
完全に二つに分かれた飛行機は、呆然とKさんが見守る中、山の向こうへと並んで消えていった。


見る人や時によってパターンは異なるものの、こういった奇妙な飛行機がその付近では頻繁に目撃されているという。