2014-04-01から1ヶ月間の記事一覧

5月5日は何の日?第十八回文学フリマの日だよぉ!(子日) 先回に引き続き、今回もサークル「たびね町」の新刊『十一月荘』第5号に寄稿いたしました。題は「ジャックの灯(ともしび)」でございます。前号同様に挿絵が美麗です。席番は「F-04」らしいので御…

車の中

Mさんが仕事中、外から戻ってきた同僚にこう言われた。 「車で子どもが待ってるみたいだけど、どうかしたの?」 そう言われても何のことなのか見当がつかない。 Mさんは独身で子どもなどいないし、車の中に誰かを待たせているということもない。 詳しく話を…

コンビニ

名古屋で働くKさんが法事のために長野の実家に帰ることになった。 その日の仕事を終わらせてから出発したので、長野県に入ったのはもうすっかり夜が更けてからのことだった。 山道を運転しているうちにトイレに行きたくなってきたので、どこかちょうどいい所…

座敷電車

東京で就職したMさんは、半年ぶりに帰省することにして、電車に乗った。 三回ほど乗り換えて四時間はかかる道のりだ。 郷里は人の少ない田舎なので、近づいてゆくうちに乗客もまばらになってくる。 しかし午後六時を過ぎた頃、二、三人くらいしか乗っていな…

十年ぶりくらいに見かけた同級生がアジア人のはずなのにスティーヴ・ブシェミとマコーレ・カルキンの平均値のような顔になっていたのでひどく感心してしまいましたが、特にそれとは関係なく怪談は明日更新します

笛の音

雨の日のことだったという。 Tさんが小学校から帰ってきてから居間で過ごしていると、後から帰ってきた中学生のお姉さんが辺りを見回してさかんに首を捻っている。 「なんか、笛の音がする」 お姉さんの言葉にTさんも聞き耳を立ててみると、かすかながらも確…

ぶら下がり

夜七時くらいのことだったという。 自宅のマンションに帰ってきてエレベーターに乗った。 他には誰も乗っていなかったし、五階で降りるまで誰も乗ってこなかった。 しかしエレベーターから出た瞬間、背後で咳払いが聞こえた。 えっ、誰? 咄嗟に振り向くと、…