2008-01-10から1日間の記事一覧

八十/ 雑巾がけ

Sさんは、中学生の頃わけあって親戚のお寺に預けられていた。近隣でも大きいほうのお寺で、本堂を半周する長い廊下があった。この廊下が、なにやら陰気な感じがしてどうにも好きになれなかったらしい。 ある晩遅くのこと。Sさんはトイレに行きたくて目を覚…

七十九/ 桜

外を歩いていたEさんは何故かその日に限って、すれ違う人からの視線を感じた。気のせいかとも思ったが、やはり皆自分のことをちらちら不思議そうに、あるいは珍しそうに見ていく。何だろうと思ったEさんは、通りに面したビルのガラス窓に映った自分の姿を…

あと二十。とはいえ、百話行くか九十九話で止めるかまだ決めてません。