2007-09-01から1ヶ月間の記事一覧

白鷺

田んぼに水をはる前と稲刈りが終わった後には、田おこしという作業をする。土を耕してやって、雑草が生えるのを防いだり、平らに均したりするのだ。この作業をしていると、近辺に棲息している鳥、特に白鷺が沢山集まってくる。田んぼを耕すトラクターの周り…

挙手

もし部外者枠があるならば第二回ファック文芸部杯参加希望します。白人の走り方で。

五十/ 増えた先生

Mさんが高校生の時の話。午後の授業中についつい睡魔に負けて、数分間机に突っ伏した。気がついてみるとどうやら居眠りしていたのは僅かな間だけだったようで、授業はほとんど進んでいなかった。 しかし、変わっていることがあった。なぜか先生が二人いる。…

四十九/ 引っ張る

Tさんが背中まであった長い髪をばっさり切った。「最近ね、部屋の中で子供が騒ぐの。それだけじゃなくて、面白がってるのか、時々髪を引っ張られたりしたの。鬱陶しいから短くしちゃった。そうしたら声もしなくなって。多分、髪形が変わったから誰だかわか…

怪談を煽ってみる

怪談は、 ほどほどの長さ(短編が多い・短編が適している) 読む時と場所を選ばない(あらゆる状況それぞれに適した怪談がある) といった点からケータイ小説に実に適したジャンルだと思うので、みんな携帯端末向けに怪談を書けばいいと思いました。単に私が…

四十八/ 地震犬

Oさんの住んでいる町が、さる大地震で甚だしい被害を受けた時のこと。避難するときにお隣の前を通りかかると、お隣さんは一家揃って家の前に出ている。お隣の家は一階部分が無残に潰れて、とても中にいたら助からなかったような有様だ。しかし、地震が発生…

四十七/ 移動する影

ある日の夜、Sさんが日課である愛犬の散歩をしていた時のこと。月の明るい晩で、道沿いの電柱の影が伸びているのがはっきり見えた。Sさんがある地点まで差し掛かったとき、足元に伸びる電柱の影がにゅっと動いた。隣の電柱の影はそのままなので、光源が動…

好きな未確認生物はモスマンとニンゲンです

ブクマコメントにあった別役実のあざらし記述を探しに書店に行ってみたのですがそれらしいものは見つからず。多分『けものづくし』辺りではないかと思うのですが。 代わりに買ってきた高野秀行『怪魚ウモッカ格闘記』(集英社文庫)が大層面白かった。それで俄…

―――の電話(60/100)

電話が鳴った。 「私、―――さん。今おうちを出たところ」 すぐ切れた。悪戯電話だろう、と思った。またすぐに鳴った。 「私、―――さん。今、川を渡ったところ」 ひやりとした。そんなはずはないのに。また鳴った。 「私、―――さん。今、あなたのおうちの前にい…

河川のアザラシまとめ

自分で作ってみました。 近年、本州の河川にアザラシが現れる例が多くなってきました。それに従い、「おらが村の川にもアザラシを呼んで村おこしに」「ウチの学校にもアザラシを」「アザラシの子を生みたい」などなど巷でもアザラシ欲の高まりは留まるところ…

四十六/ 素振り

現在剣道の師範をしているHさんは学生時代も剣道部に所属していて、寝る前の木刀の素振りは日課だった。 その学生時代のある夜、庭で素振りをしているとどうもいつもと勝手が違う。なぜだろう、と思いながら続けているとすぐにわかった。木刀が空を切る音が…

四十五/ 閉切り

Yさんの実家は地域でも有数の旧家であって、古くは名主をしていたという。そのため、今でも土地の祭りのある儀式は必ずY家で行われるという。 その儀式というのは、その年の当番がY家の離れで一晩過ごす、というものらしい。ただ漫然と一晩過ごせばいいと…

表現者は死人なり

ポーランドの作家、作品で自身が犯した殺人を描写これを読んで連城三紀彦『戻り川心中』を連想してしまうのは私だけではないと思う。以下重大なネタバレを含むのでそれでもいいという人だけ続きを読んでください。

お願い

川に迷い込んだアザラシの一覧とかまとめサイトとかあったらいいなと思って探したんですが、見つからないのでご存知でしたらご一報ください。

元アザラシと旅行してこい

多摩川に始まって日本各地の河川にフラフラ迷い込んできたアザラシの話はよく聞かれるので、私の家の近所を流れる太郎川にアザラシが現れるようになったと聞いた時も「へえ、だから?」というくらいの気持ちだった。別段アザラシが好きなわけでもないので見物…

つまり携帯小説は伝奇小説であって卓見と思うが、愚考するにホストはサンカに擬せずとも本来が歓待を職能とする道々の輩であり、中央の権勢の及ばぬ公界の住人ではないだろうか。

四十四/ 海水浴客

Kさんが学生の頃、友人数人と泊りがけで海水浴に行ったことがあった。最後の晩に花火をすることになり、皆で砂浜に繰り出した。夜の砂浜は他に人影もなく、思う様はしゃぎまわることができた。帰ってから数日後、撮影役をしていた友人から連絡があった。撮…

四十三/ 蚊

ある夏の夜のこと。Iさんは右腕に蚊が一匹とまったのを見て、グッと腕に力を入れて口が抜けないようにした。見る見るうちに蚊の腹部が膨れてきたので、頃合と思い左の手のひらを叩きつけた。その瞬間、予想もしなかった水音が響き、左手のひらと右腕の間か…

自分が時々味わっている感覚が「不思議の国のアリス症候群」と言われるものだと最近知りました。なので散歩しながら「チャンピオン」を歌っていたら目が合った近所の猫にいやな顔をされた。ずっと俺のターンになるのがなにより読者として厭なので百物語のほ…